Q3.膀胱炎は具体的にはどのような疾患でしょうか。
膀胱炎は、細菌感染で膀胱が炎症を起こした状態のことです。のどに菌が入れば風邪、膀胱に菌が入れば膀胱炎になります。ただし、細菌1個ですぐに膀胱炎になるわけではありません。目安としては、細菌数が1万個/ccを超えれば膀胱炎ということになります。下記のような症状があれば膀胱炎を疑ってください。
もしかしたら膀胱炎かも?「膀胱炎チェックリスト」
- ・排尿の最後に痛みがある
- ・おしっこがにごる(血が混じることも)
- ・トイレに行く回数が増える(就寝中も行きたくなる)
- ・残尿感がある(おしっこを出してもスッキリしない)
女性は、男性よりも尿道が短く(男性の14~18cmに対して女性の平均は3.5 cm)、また、尿が出る場所(尿道口)が肛門や膣に近いため、男性よりも細菌が膀胱に侵入しやすいと考えられています。
膀胱炎では通常高熱は出ないのですが、細菌が尿管を逆行して腎臓の腎盂(じんう)と呼ばれる場所まで達し、炎症を起こすと38℃以上の高熱が出ます。これは腎盂腎炎という疾患で、腰のあたりに痛みが出る(腎臓が大体腰の高さにあるため)ことも特徴です。こうなってしまった場合は、早めに医療機関を受診するようにしてください。
Q4.膀胱炎になってしまった場合はどうすればいいでしょうか?
まず、水分を十分とってこまめにトイレで排尿してください。症状が半日以上続くようなら医療機関を受診してください。最初から泌尿器科を受診するのはハードルが高いかもしれませんので、その場合は内科や婦人科でも大丈夫です。泌尿器科を受診していただいても診察は通常尿検査をするだけで、恥ずかしいことはありません。よほどのことがなければおしもの内診などはしませんので、安心して受診してください。医療機関では細菌を殺す抗生物質を処方しますので、それを最後まで飲みきってもらうことが大切です。症状がなくなると服薬をやめてしまう患者さんが多いのですが、中途半端にやめてしまうと細菌が消えていない場合にはすぐに再発することもありますので、処方された分はしっかり服用してください。
あとは、いつもより多めの水分をとり、おしっこを長時間我慢しすぎないことが大切です。私は患者さんに、「おしっこで膀胱をきれいに洗い流してください」と伝えています。細菌は抗生物質で殺せますが、炎症を治すのは自分の免疫力ですから、基礎体力も必要です。膀胱炎に限りませんが、体調にも十分注意してください。
また清潔を保つことも大切ですから、生理用ナプキンやおりものシートは長時間つけっぱなしにせず、3時間くらいで替えるようにしてください。なお、尿失禁などでパッドを使用する際は、必ず専用のものを使うようにしてください。たまに、生理用ナプキンの上にティッシュペーパーやトイレットペーパーをたたんで間に挟み、汚れたらペーパーだけ替えるという方がいるのですが、これはすすめられません。尿とりパッドというのは、おむつと一緒で1回吸い込むと水分が戻らないようになっていますが、ペーパーは水分がつくとそのままジメジメしているので、皮膚かぶれの原因になりますし、細菌も繁殖しやすい環境になってしまいます。ですから、尿もれがある場合は、ちょうどよい吸収量の専用の尿とりパッドを使い、こまめに替えるようにしてください。
Q5.トイレに行くのを我慢すると膀胱炎になるというのは本当でしょうか。
そんなことはありません。膀胱炎になりやすいのは、水分をとらずに1日2~3回しかトイレに行かない、という状況です。成人において膀胱は最大350~450 ccくらいの尿をためることができます。トイレに行く間隔は4~5時間くらいが理想的です。これを維持できていれば、少量細菌が膀胱に入ったとしても、増える前におしっこで洗い流すことができます。また極端なダイエットもおすすめではありません。ダイエットをすると、食事だけでなく水分摂取量も減ってしまうことが多く、その分1日の尿量も減ってしまいます。「どうしても朝食を食べることができない」という場合は、1食につき、いつもより500 cc多めに水分をとるようにしてください。
ただ3~4時間おきに尿を出せばいいのかというとそうではありません。膀胱に尿がたまっていないのに頻繁にトイレに行くことを長く続けていると、徐々に膀胱の容量が小さくなっておしっこをためる能力が弱り、十分な量をためることができなくなってしまうことがあります。普段から十分な水分を摂取し、膀胱に適切な量をためて、適切な回数トイレに行く、というのが膀胱炎を予防し、快適なトイレライフのためには大切なことです。