Q1.日本人が多く罹る「腸管感染症」にはどのようなものがありますか?
主な腸管感染症について教えてください。
集団生活をするところでいつも問題となり、数的に非常に多いのはノロウイルスです。アウトブレイク(集団発生)が起こりやすく、腸管感染症の中でも特に目立って数が多いです。
例年、日本では年間1万4000人を越える患者数が報告されていますが、重篤な症状がなく医療機関にかからない方もいるので、実態はその10倍以上、100倍近くいると考えられます。免疫ができないため、何度も感染してしまう人もいます。
日本で多く発生する原因は牡蠣の生食習慣にあります。冬場11〜2月に多いのもやはり生牡蠣を冬に食べるからでしょう。
学問的には牡蠣に限らず、二枚貝ならノロウイルスが濃縮されていることがありえます。もちろん火を通して食せばいいわけですし、日本海の夏牡蠣のように夏でも生食可能な牡蠣もあります。発生原因のすべてが牡蠣にあるわけではないですね。
ノロウイルスは経口感染によって激しい下痢と嘔吐が起こり非常に苦しみますが、死に至るまで重篤化することは希です。基本的にはインフルエンザと同じように、3〜4日もすれば治ります。
しかし、高齢者が感染すると死亡する事例もあります。その場合に多いのは、感染そのもので亡くなるというより、嘔吐物を喉に詰まらせたり、下痢による脱水症状で亡くなるというケースです。
また、近年日本で増えているのがカンピロバクターによる腸管感染症です。半生の鶏肉などで感染します。冷凍輸入された鶏肉を調べると、ほぼ7割からカンピロバクターが検出されます。ですから、鶏肉は十分に火を通してから食べるようにしてください。