Q1.そもそもトイレでウイルス・菌に感染することはあるのですか。
トイレを使用するだけでは感染は起こりません。
排泄物を介して起こり得る感染症(感染性胃腸炎、食中毒など)の感染経路のほとんどは「糞口感染」です。つまり、排泄物(に含まれるウイルスや細菌)が口から消化管に侵入してはじめて感染が成立します。最も良く知られているのは「ノロウイルス感染症」です。
たとえトイレを使用してお尻にウイルスや菌が付着したとしても、それだけでは感染症は発生しないのです。
口にウイルスや細菌が侵入する最も考えられる原因は、ひとつは、排泄物から舞い上がる飛散物を吸いこんだ場合、そして、手に付着した排泄物(に含まれるウイルスや細菌)を無意識のうちに口へ運んでしまう場合です。トイレ使用の関連で最も原因となりやすいのは後者だと思います。トイレの清潔を保持することはもちろんですが、感染症から身を守る最も重要なことは各自が排泄後にきちんと手洗いまたは手指消毒を行うことです。
なお、ノロウイルス感染症はほとんどの場合3日程度で治りますが、症状が消失したあとも1週間から2週間ほど、便中にウイルスが排泄されます。自分は治ったと思っていても自分の排泄物が感染源になることがありますので、ノロウイルス感染症に罹患した方は、治癒後であってもトイレ後の手洗いは入念に行ってください。